「子どもが生まれたし、学資保険に入ったほうがいいのかな…」
こう考えるご家庭はとても多いです。特に30歳前後で第一子が生まれたタイミングは、保険の営業を受ける機会も増え、「とりあえず入っておくべきもの」と思いがちです。
しかし結論から言うと、学資保険は基本的に不要です。
理由はシンプルで、利回りが低い割にリスクが多く、効率の悪い金融商品だからです。
この記事では、実際の数字を使いながら「なぜ不要なのか」をわかりやすく解説し、代わりにどうすればいいのかまで具体的にお伝えします。
そもそも学資保険とは?仕組みを簡単に解説
学資保険とは、子どもの教育資金を準備するための貯蓄型保険として販売されています。
毎月一定額を払い込み、満期(高校入学や大学入学など)になるとお金を受け取れる仕組みです。
一見すると、
- 強制的に貯金できる
- 元本が増える
- 万が一の保障もついている
といったメリットがあり、「安心できる商品」に見えます。
ですが、この“安心感”の裏に大きな落とし穴があります。
学資保険がいらない5つの理由
① 実質年利が低すぎる(約0.5%)
例えば、ある学資保険のケースです。
契約者:30歳、子ども:0歳 保険料払込期間:18年
- 月額:13,060円
- 払込期間:18年
- 払込総額:2,820,960円
- 受取額:2,963,380円
- 戻り率:105.0% = 2,963,380円 ÷ 2,820,960円
戻り率とは契約期間全体の率で、年率ではありません。
一見すると「14万円増えているのでお得」に見えますが、18年で5%で年利にすると約0.5%です。
これは銀行預金とほぼ変わらない水準であり、長期間お金を拘束される割にはリターンが非常に小さいです。
② 保険会社の倒産リスクがある
「保険だから安心」と思われがちですが、保険会社も企業である以上、倒産リスクはゼロではありません。
倒産した保険会社
- 日産生命 1997年4月破綻
- 東邦生命 1999年6月破綻
- 第百生命 2000年5月破綻
- 大正生命 2000年8月破綻
- 千代田生命 2000年10月破綻
- 協栄生命 2000年10月破綻
- 東京生命 2001年3月破綻
- 大和生命 2008年10月破綻
万が一の場合、契約条件が変更されたり、受取額が減る可能性もあります。
保険契約者保護機構制度(保険会社のセーフティネット)というものがありますが満額保証ではありません。減額の可能性があります。
保険業法上、保険会社が破綻した場合には、保険契約者保護機構制度(保険会社のセーフティネット)が導入されています。
具体的には、生命保険会社・損害保険会社別に設立された保険契約者保護機構が、破綻保険会社に係る保険契約の移転等における資金援助等を行うことにより、保険契約を継続させ、保険契約者の保護を図っています。
破綻処理の対応状況等によっては、契約条件が変更となる場合がありますが、補償対象契約については、契約の内容に応じて責任準備金の一定割合まで補償されます。出典:金融庁「保険契約者保護機構制度(保険会社のセーフティネット)」より
③ 途中解約で元本割れするリスク
子育て中は予想外の出費が多いものです。
- 引っ越し
- 車の購入
- 医療費
- 教育費の前倒し
こうした事情で解約すると、ほぼ確実に元本割れします。
つまり、自由に使えない「縛られたお金」になるのです。
5 契約の解約と返戻金
契約を途中で解約すると、多くの場合、返戻金は払い込んだ保険料の合計額よりも少ない金額になります。
理由:
- 生命保険では、払い込んだ保険料を、預貯金のように、そのまま積み立てるのではなく、その一部をご不幸にあわれた方々への保険金の支払いに、また、他の一部を保険契約の成立や維持するための必要経費などにあてています。
- 払い込んだ保険料から、それらを除いた残額を返戻金としているため、多くの場合、払い込んだ保険料の合計額よりも少ない金額となります。
出典:かんぽ生命「ご契約のしおり・約款(Web約款)学資保険」より
④ 金利上昇で損する可能性
学資保険は基本的に「固定金利商品」です。
契約時の低い利率が18年間続くため、将来的に金利が上がった場合でも恩恵を受けられません。
一方で、預金や国債であれば金利環境に応じて柔軟に対応できます。
⑤ インフレに弱い
インフレとは「物価が上がること」です。
例えば18年後、今と同じ300万円でも、実質的な価値は下がっている可能性があります。
学資保険は増える額が小さいため、インフレに負ける可能性が高いのです。
先述の例でいうと学資保険は年利約0.5%、日銀が目指す物価上昇率は2.0%です。
日本銀行法では、日本銀行の金融政策の理念を「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」としています。
物価の安定が大切なのは、それがあらゆる経済活動や国民経済の基盤となるからです。
市場経済においては、個人や企業はモノやサービスの価格を手がかりにして、消費や投資を行うかどうかを決めています。物価が大きく変動すると、個々の価格をシグナルとして個人や企業が判断を行うことが難しくなり、効率的な資源配分が行われなくなります。また、物価の変動は所得配分にゆがみをもたらします。こうした点を踏まえ、日本銀行は、2013年1月に、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現するという約束をしています。
出典:日本銀行 金融政策の概要 2%の「物価安定の目標」より引用
【実例】学資保険のリアルなシミュレーション
契約者:30歳、子ども:0歳、保険料払込期間:18年で試算 (2026年4月時点)
A生命のケース
- 月額:13,060円
- 総支払額:2,820,960円
- 受取額:2,963,380円
- 戻り率:約105%
- 実質年利:約0.5%
K生命のケース
- 月額:14,100円
- 総支払額:3,045,600円
- 受取額:3,000,000円
- 戻り率:約98.5%
こちらはなんと元本割れです。
「安全そう」というイメージだけで選ぶと、こうした結果になることも珍しくありません。
ではどうする?おすすめの代替案
ここからが重要です。
学資保険を否定するだけでは意味がありません。
もっと合理的で柔軟な方法があります。
① 定期死亡保険で最低限の保障
まずは「万が一」に備える部分だけを切り分けます。
例えば、ライフネット生命の定期死亡保険で算出しました。
契約者:30歳男性、保険期間:20年
- 保険期間:20年
- 保険金額:500万円
- 月額:834円
この程度の負担で、必要な保障は確保できます。
もちろん「保険料払込免除」もついています。
② 残りを貯金・運用に回す
学資保険に払う予定だったお金から保険料を引いた分を、自分で管理します。
ネット銀行で貯める
普通預金金利の高いネット銀行で毎月貯蓄しましょう。
- 毎月:12,226円 = 13,060円 - 834円
- 総額:2,640,816円 = 12,226 × 12ヶ月 × 18年
年利0.3%でも、最終的に利息を含めて約271万円になります。
さらに、
- いつでも引き出せる
- 物価上昇時には利率も上昇する
という大きなメリットがあります。
個人向け国債という選択肢
2026年4月時点では、
- 固定3年:約1.20(税引後)
- 固定5年:約1.42%(税引後)
- 変動10年:約1.23%(税引後)
と、学資保険よりも高い利回りが期待できます。
しかも元本保証です。
学資保険 vs 定期死亡保険+貯金の比較
| 項目 | 学資保険 | 代替案 |
|---|---|---|
| 利回り | 低い | やや高い |
| 柔軟性 | 低い | 高い |
| リスク | 中 | 低 |
| 途中引き出し | 減額 | 満額+利息 |
結論としては、同じ目的なら代替案のほうが合理的です。
まとめ|教育資金は「守り」と「自由度」で考える
学資保険は、
- 安心感がある
- 貯金できる
という理由で選ばれがちですが、実際には
- 薄い保証
- 利回りが低い
- リスクがある
- 自由度が低い
というデメリットがあります。
大切なのは、役割を分けることです。
- 保障 → 定期死亡保険
- 貯蓄 → 預金・国債
このシンプルな設計にするだけで、
無駄なコストを減らし、効率よく教育資金を準備できます。
「なんとなく安心だから」で選ぶのではなく、数字と仕組みで判断することが、家計を守る第一歩です。



